活動報告

経済講演会 (2011.02.09)

 当所は安城経済同友会、(社)刈谷法人会安城支部と共催で経済講演会を開催した。
 当日は日本銀行名古屋支店長の前田純一氏を講師にお招きし、「最近の金融経済情勢」と題して、東海地区の経済環境について説明いただいた。主な内容は次のとおり。
2010年は持ち直しを続けてきたが、10月以降は持ち直しの動きが急速に減退し、2011年1月現在の情勢では、足踏み状態といえる。景気の先導役である製造業が低調に推移したことが要因であるが、とりわけ自動車産業、電子部品・デバイス産業の生産低下がタイムラグを持ち、全体に波及したものと考えられる。全国の鉱工業生産指数と比較した際、同じような動きではあるものの、自動車産業の比重が大きい東海地区では、新車製造の押上げ幅の縮小が大きく反映され、景気回復の足踏み感を生んだ。
 2010年は後半に回復に転じるとの予測であったが、景気持ち直しの動きに力強さは無かった。2010年後半には輸出が回復することで、国内消費低下を補填できるとの見解であったが、米国の家計動向がプラスに転じていない点や、米国内での日本車シェアの減少、生産の現地生産化などの要因が絡み合い、輸出を減少させたことにより、エコカー補助金終了の反動による国内消費低下を吸収できず、極めてシンプルな形で景況感に反映された。日本車シェアの減少要因としては、リコール問題の後遺症や、国産車のメインターゲットである個人消費が上向かなかった点が挙げられる。韓国車等が、品質やマーケティング面で日本車と同等レベルになった現在、為替相場のもたらす影響は大きいといえる。
 2011年の景気動向の大方の見方は年後半での回復を予想する声も多いが、東海地区については1〜3月で上向く可能性が高い。その要因として、エコカー補助金終了による反動が薄れることや、新車種の市場投入、エコカー減税の継続、情報関連材業界の持ち直し等のプラス効果が挙げられる。しかしながら、エコカー補助金交付中までの購買量には及ばない点や、輸出の伸び悩みが解消しないことにより、4〜6月以降は回復のテンポは緩やかになる可能性が大きい。
 日本銀行では金融緩和政策を継続する。商工会議所会員の皆様には、歴史的にも未曾有の低金利局面を積極的に活用し、可能な限り前向きな投資を行い、地域全体で景気を押し上げる力になって頂ければ幸いである。


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